加賀友禅作家 毎田健治(まいだ・けんじ)さん
研ぎ澄まされた写実精神が大切多くの伝統技術が後継者不足に悩む中で、加賀友禅は、その道で仕事をしたいと工房の門をたたく若者が絶えないといいます。確かに、四季の自然や花鳥風月を細やかに描いた華麗な模様染めは、世代を超えて見るものの心を奪います。しかし、日本人がもっとも親しんできた事物に対して筆をとるからこそ、「自然は常に止まっていないことを肝に銘じ、鳥や草花をどこまでもよく見なくてはいけません」と、毎田さんは自分に言い聞かせるように語りました。豊かな伝統に支えられているとはいえ、一反一反の友禅を成り立たせているのは、作家個人の研ぎ澄まされた写実精神。ぼかしや虫食いなどの細やかな技法は、その後からついてくるものです。
常に新しい挑戦を忘れずに
金沢には友禅の工房は数多くありますが、多くの作家は布に地色を染める「引き染め」などの作業は、専門の業者に任せてしまいます。しかし、毎田さんは、最初から最後までの工程に目が届くように、自分の工房ですべての作業を行っています。「例えば赤と言っても、私とあなたでは、きっと違う赤を心に描いているでしょう。人間が識別できる色の数というのは、天文学的な数なんです。自分のイメージしたままの色を得るためには、それしか方法がないということです」。現在、毎田さんは加賀友禅を代表する作家の1人。それでも、新しい挑戦を忘れません。「若い人が、もっと着物に親しんでもらうことも大切。例えばハンカチでもいい。友禅の本当のよさに普段から触れることで、時間と手間をかけなくては出来ないものの大切さを忘れないようにしてほしいですね」
